【ピーク・エンドの法則】
ダニエル・カールマンという行動経済学者が1999年に提唱。
われわれは自分自身の過去の経験を、
ほとんど完全にその「ピーク(絶頂)時」にどうだったか(嬉しかったか悲しかったか)
ならびにそれが「どう終わったか」だけで判定する、という法則である。
ピーク以外の情報が失われることはないが、比較には使われない。
それには喜びもしくは悲しみの総量、またその経験がどのくらい持続したかですらも含まれる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「終わりよければすべて良し」ということわざもありますが
人はストーリーを評価するときに
【ピーク(絶頂期)】と【エンド(最終局面)】の記憶を最も大事にします。
それ以外の記憶はあまり評価に影響を及ぼさないということです。
この【ピーク・エンドの法則】はビジネスや実体験、そして恋愛にも応用できるため深堀りします。
【ピーク・エンドの法則】での洗脳技術には注意しよう
行動経済学の基本原理を押さえることで、【ピーク・エンドの法則】をより深く理解できると思います。
【ピーク・エンドの法則】は途中の山場(ピーク)が大きければ大きいほど印象が強く残ります。
この「振り幅」は苦痛であっても印象に残ります。
であれば、苦痛(損失)を最大にすると、どんなことをしても助かろうという意識から、被害を最小にしようとします。
その状態で、少しの利得が目の前に現れたら、その利得の価値が一気に増幅され、とても大きな価値を感じるのです。
これが【ピーク・エンドの法則】の原理です。
【ピーク・エンドの法則】を利用した洗脳技術とは、極限の苦痛と一瞬の安堵を織り交ぜること。
その安堵が極限状態と対比され、より強い安心感を得たように錯覚してしまうのです。
実際に2種類の方法で実験されています。
①痛いほど冷たい水に60秒の間、手を浸している
②痛いほど冷たい水に合計で90秒の間、手を浸している。はじめの60秒間は①と同じ冷たさ。最後の30秒間は、温度が少し上がり、いくらかは和らいでいる
体験せずに、どちらを選べと言われたらどちらですか?
痛いほど冷たい水に手をいれる時間は60秒で同じです。
なら私は時間の短い①を選びます。ほとんどの方が①じゃないですかね。
実際に両方を体験してもらった方に
「もう一度体験するとしたらどちらか」という質問で、8割以上の人が【②】を選択したのです。
②の最後に少し温度が上がったおかげで①よりも印象が「良い」と言うのです。
つまり、体験した「時間の長さ」よりも、最終的な「印象」で全体を判断する要因となる結果となりました。
ここで注意していただきたいのが
苦痛を自ら選んでいる
ということです。
苦痛を受ける時間は②のほうが長いのにそちらを選ぶ
まさに「アメとムチ」の使い分けです。
これが「洗脳技術」です。
この洗脳が表れているのが
DV(ドメスティックバイオレンス)です。
蹴られたり、殴られたりしても、最後に優しい言葉をかけられることで、
「あの人には私が必要」だと、自ら苦痛を選んでしまうのです。
この【ピーク・エンドの法則】で大切なことは
【ピーク】と【エンド】は真逆
のほうが「効果が高い」ということです。
要は、【ピーク】が損失であれば、【ピーク】は利得。
【ピーク】が利得であれば、【ピーク】は損失。
というように【真逆】であるほうが、印象に残るのです。
先ほどの実験と同じで、話だけ聞くと「だまされるわけがない」と思うでしょう。
しかし実体験だとどうなのでしょうか?
皆さんも洗脳技術にはくれぐれも注意しましょう。
学生時代や恋愛での【ピーク】と【エンド】を考える
例えば、学生時代に一番印象に残った思い出は何か?というと
部活、文化祭、修学旅行と答える方が多いと思います。
あとは、卒業式なども思い出に上がるのではないでしょうか。
やはり、【ピーク】と【エンド】の体験を上げる方が多いと思います。
【ピーク】は人によっては、学年順位で一位をとったとか、彼女ができたとか、さまざまです。
これは、恋愛においても利用されます。
「デートはできるだけ別れ際が大事」といわれるように
【エンド】を印象深いものにする必要があるということです。
例えば、デートで遅刻してケンカをしたとしても、最後に優しく接し、楽しませることができれば、最初の悪い印象はほぼ消え去るのです。
また、分れ話の際にも利用されます。
分れ話をされたときに、感情的になり相手の印象を悪くするよな態度を示すより、分れ際の対応が魅力的であれば、相手の印象は良くなり、向こうから復縁を望む可能性も上がるのです。
まあ、分れ話にならないほうがベストですが(;^ω^)
学生時代などを総括するときに、【ピーク】と【エンド】が強く印象に残っていれば、学生生活全体が楽しい思い出として記憶されます。
それらが低く苦痛であったなら残念な思い出として記憶されます。
私は勉強が嫌いだったので、残念な思い出が強いですかね・・まあ、過去は振り返らない性格なので、今が大事です。←強がり( ´艸`)
具体例でビジネスに応用される術を知る
①ネットショッピング
流れとしては、欲しい商品を検索し、興味が沸き購買意欲を高め、支払いを確定させます。
この時に、商品が届くまでは、「これでよかったのか」「後悔しないか」など「お金」が無くなることにより不安の【ピーク】になります。
その後、商品が届き、思ったより少しでも良い商品であれば、【エンド】の商品価値は実際より高くなります。
そして、思わぬ小物がついていたり、次回の割引券がついていたりと、お得感をアピールできるポイントがあれば、【ピーク・エンド】の効果を最大限利用することができます。
この特典効果は購入前に記載しておくより、届いたときにセットされておくほうが効果は倍増します。
②家電量販店
店員に値段を聞くときは、ある程度購入することを視野にいれていると思います。
ここが値段の【ピーク】です。
そこから値引き、ポイントサービス、特典などがつくと、【エンド】では最初の金額よりお得感が満載になります。
お店で何気なく購入のやり取りをしているのですが、実際には【ピーク・エンド】に従っているのです。
この「気づかない」という心理を上手く利用することで、商品は格段に売れ、口コミ評価にも繋がるのです。
③有名テーマパーク
どこに利用しているか分かりますか?
実は「乗り物の待ち時間」です。
混雑時のアトラクションは2~3時間待ちは当たり前です。
実際の楽しい時間は5~10分程度で終了。
しかし、多くの人が満足し、「また乗りたい」と考えます。
それはなぜかというと、結局は【ピーク】と【エンド】の瞬間しか印象に残っていないからです。
3時間の待ち時間が期待感を膨らませ、
5分間のアトラクションの体験が【ピーク】となり、
終わったあとも友達や家族と楽しく会話【エンド】で盛り上がり共有するからです。
だからテーマパークは行列の改善よりアトラクションの「質」にこだわるのです。
④レストラン
【ピーク】は間違いなく食事ですね。
食事の際に、お客様が満足するような素敵な演出ができれば、効果は倍増します。
そして【エンド】は、お客様が帰る時ですね。
丁寧なお見送りや、心遣いをすることで、「この店は良い店だな」と記憶に残りやすくなります。
SNSなど情報発信にも「ストーリー」として活用する
「ストーリー」として説明する場合、どこに【ピーク】と【エンド】を置くかがポイントになります。
基本的には、最も伝えたいポイントに【ピーク】を、最後の一押しに【エンド】を置く構成となります。
全体をどのような文章構成にするかによって、ピークの置き方は少し変わります。
三段構成
序論、本論、結論の三段構成が文章としてはわかりやすいと思います。
また構成がシンプルなので、様々な場面で応用もできます。
「序論」で説明した内容に説得力を増していき、「本論」で説得の【ピーク】を、「結論」に【エンド】を合わせていきます。
四段構成
有名な起承転結ですね。
「起」:前提知識や情報などを簡潔にまとめて記載
「承」:「起」で提示した知識や情報を詳しく解説
「転」:深めた知識の情報を元に、記事内で主張したい内容や主題を記載
「結」:展開してきた内容を要約して、記事内で読み手に伝えたいことは何か、を簡潔にまとめる
やはり、四段構成ではストーリーが盛り上がる「承」から「転」を【ピーク】に、「結」の【エンド】に標準を合わせ、盛り上がりを作ることが大切です。
そのあたりはTwitterなどの短い文章で実践してみるとよいと思います。
良くも悪くも反応があれば、効果があり、反応がなければ、弱いということです。
そのためにも、まずは見てもらえるフォロワーを増やすことが大切です。
そのうえで私も実践中ですが、なかなか難しいですね(;^ω^)
有名人のようにすでに認知されていれば、必要ない法則ですが、無名の人物が発信していくには、最初の重要な法則となります。
あとは、どんどん発信して、反応をみて、改善していくのみです。
Twitterで失敗してもほぼタダです。恐れる必要はありません。
一緒に頑張りましょう!
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ランチェスター戦略は戦争時に用いられた軍事理論。ビジネス戦略にも広く応用される。第一法則は弱者(2位以下の企業全て)の戦略。第二法則は強者(シェア1位の企業)のための法則。マーケットシェア理論の具体的な戦略を紹介。市場の強者と弱者において戦略を知り、弱者は弱者ならではの戦略で戦うことが大切。